創世記物語(6)~洪水のさばき~

聖書の物語

10年という長い歳月が過ぎていきました。
今では、3人の息子たちもそれぞれ結婚し、美しい妻がいます。

箱舟は完成しました。

動物も、動物のエサ、
人間たちが船の中で食べる食べ物の準備、

なるべく多くの種類の生き物を乗せていくのですから、集めてくるのも大変です。

それでも「一緒に乗りませんか?ただ乗るだけでもいいんですよ。」と説得することは最後まであきらめませんでした。
もう、ノアたち家族から「箱舟のこと」を聞かなかった人は誰一人いませんでした。

ぽつり・・。
ノアの頬に雨が1滴。
ノアは空を見上げました。

ゴロゴロ、、
遠くに、雷が鳴ります。

なんでもないいつもの夏の雨のように見えましたが、ノアは、今までとは何かが違うという感じがしました。

「急ごう!その時は近い!」そういいました。

植物を乗せ、
荷物を船に乗せ、
最後に動物を1種類ずつのせ始めました。

最後にもう一度だけ!
村に降りて行って叫びました。

「急いで今乗りましょう!」

しかし、相変わらず、村の人たちはノアを笑いました。

「今まで何にも起こらなかったではないか。
 このほら吹きじいさん!船にでもなんにでも乗ってどこかへ行きやがれ!」

ノアの願いはむなしく、誰の心にもノアの声は届きませんでした。

しかし、悲しんでいる暇などありません。
雨が、少しずつ強く降ってきています。

急ごう!
ノアと妻、3人の子供とそれぞれの妻。
8人が船に急いで乗りました。
そして、大きな箱舟の戸は静かに閉じられました。

2月の半ばのある日のことでした。

人々はその時、
「少し今日は雨が強いな」と思っただけでした。

ノアたちは箱舟に乗って祈りました。
彼らもまた、神様に「乗りなさい」と言われたので箱舟に乗ったものの、
まだ、何の実感も沸いていませんでした。

ところが夜中になっても、ずっと雨が降り続いていきます。
ゴゴッ
どこからか鈍い音がします。

外を見ることもできない状態でしたが、船が大きく揺れたあと、動き始めました。
相変わらず雨は滝のように降っていて、右へ、左へ、
ぐるぐると揺れていました。

遠くから人の悲鳴のようなものが聞こえたかと思うと、
あっという間に聞こえなくなりました。
水があっというまに大きなうねりになって町を完全に飲み込んでしまったからです。
その時人々は思いました。
ノアの言ったとおりにしておけばよかった!と。

神様はそれでも、水で押し流されてしまった人々が哀れでなりませんでした。
反省したかもしれないし、肉体的には水に流されてあっという間に終わってしまったけれど、
ノアが一生懸命に頼むし、、、

でも、天国に来て暮らせるだけの十分な条件を満たしてもいないし、、、
それで、この日亡くなった人々の霊魂を、皆、一つの場所に集めました。
彼らはここで約2400年も十字架で亡くなられたイエス様の霊がいらっしゃるまで待つことになりました。
とはいえ、霊になってからのは1000年が1日のように早く過ぎましたから、そんなに苦痛ではありませんでした。
イエス様が来られた時、イエス様の話を聞いて、今までのことを反省した人はイエス様と一緒にパラダイスへ行きましたし、
そんなに長い年月がたって、イエス様が説得しても、それでも反省もしないし神様も嫌いだ、という人は、神様とは無縁の世界へ行きました。

さて、お話しをノアたちに戻しましょう。
恐る恐る船の3階の窓から外を眺めると、あたりは水しか見えません。

神様がおっしゃったことは本当だったんだ!
背筋がぞっとするような気持ちがしました。

次の日も、そのまた次の日も、雨はやみません。
船の中にじっと閉じ込められて不便ですが、
どこに行くこともできません。

これからどうなるのだろう、
不安な心にもなりました。

ノアが言いました。
今はただ、じっとこの箱舟の中にいて、祈るしかない。
8人は心を合わせて祈りました。

その間も雨はずっと滝のように降りました。
雨は、40日40夜降り続けました。
そして、明け方、雨はぴたりとやみ、箱舟の窓にしずかに朝日がさしてきました。

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