子供のいないアブラム
神様はいつもアブラムを祝福しました。
あなたが見渡す土地、すべてがあなたのものだ。
約束通りにアブラムは富を多く得ました。
事あるごとに神様はアブラムに祝福を与えると約束しました。
そうしてある日神様が言いました。
あなただけが祝福を受けるのではなく、あなたの子孫まですべて受ける。
あなたは多くの子孫を得るだろう。と言いました。
当時、子供がたくさんいて一族が栄えていくことも富の象徴でした。
しかし、アブラムとサライには子供がいませんでした。
当時の年齢からいえば二人はすでに年を取っていて、子供ができる見込みがなさそうでした。
そこでアブラハムはいいました。
私は有り余るほどあなたに多くのものを得ております。
神様に差し上げることだけが残っております。
あなたが子孫に与えるとおっしゃいましたが、私には子供がおりません。
しもべたちを子供のように思っていますから、彼らを栄えさせてくださるということですね。
すると神様は言いました。いや、あなたと妻サライの遺伝子を受け継ぐ人が必ず出てくる。
あなたの子孫をあの星のように多くするだろう。とおっしゃいました。
神様が「私は全知全能な神だからあなたの子供など。簡単なことだ。信じていなさい」とおっしゃいましたが二人は、にわかに信じるのは難しいことでした。
つかえめハガル
つかえめ、とは仕えている女という意味です。
サライに仕えているハガルという女がいました。
控え目で、静かでしたがよく使えている女でした。
美しく、少し若い女でもありました。
サライは思いました。
私はもう、子供を産めるはずもない。
神様が夫アブラムに約束した子は私からは生まれないが、彼女に私の代わりになって子供を産んでもらおう。
アブラムは気が進みませんでしたがサライがあまりにも強く勧めるのでついに受け入れることになりました。
こうしてハガルは妊娠しました。
しかし、妊娠したと同時にハガルはサラに偉そうな態度をとるようになりました。
正式な妻の座がハガルになったかのようになり、サライはまるでハガルの従者になったかのように扱われるようになりました。
サライはあまりにも腹が立ち、彼女を強くいじめたりもしました。ギクシャクした関係は最後まで戻らず、結局、サライとイシマエルはアブラハムの元を去ります。
こうして、ユダヤ教とイスラム教は2人の異母兄弟から始まったのです。
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