神様の声
ある日いつものように祈っていると、心に強く神様が呼ぶ声が聞こえました。
”あなたは恐れないでいるがいい。
私があなたの口となり、私があなたの杖となって
彼らの心を叩くだろう
主よ、どこへ私をいざなっていかれるのでしょうか
しばらくよんでも声がありません。
神様はヨナの頭の中にソドムとゴモラの物語を思い起こさせながら
言いました。
ソドムとゴモラの民は私にいった、
あなたが預言者を送って40日後にこの町は滅びると
告げてくださったのなら、
私達はこのようにはならなかったでしょう、と
火の中で苦しみながら
溶けていくわが身、
私の無知と欲とが火によって溶けていきました。
しかし、あなたが火のような御言葉を先にくださったのなら
私達の罪は燃えてなくなったでしょう、
という。
しかし私は神である。
何事も告げることなくあなたを闇に追いやらない。
この時代のソドムトゴモラよ、
私は全知全能なるこの世をすべ治める神の中の神、エホバである
お前たちの罪は天の頂に至り
その鼻はへし折られるであろう
炉の火に投げ込まれ、
あるいは大水があなた方に押し寄せ
もはやあなたがたの根も枝ものこさない
罪もろとも消え失せるその日は近い
旅の終わりがあるように、あなた方の終わりもまた近い
私の心情の火をもって、あの川を渡って天の風になってほしい。”
にわかに信じがたいないように、最初ヨナは戸惑いました。
しかしこんなことが三度も続き、ヨナは一人恐怖の念に駆られました。
逃避行へ
ニネベがどんな街か、情報を得るのは簡単でした。
ニネベについて知れば知るほど
ヨナは一層不安な心にさいなまれていきました。
不朽の都、ニネベ。
一夜にして滅びるなどといった絵空事を誰が信じるというのだろうか?
なぜよりによって私に頼むのだろう?
なぜ敵であるあの国を救うというのか?
考えれば考えるほど、考えの袋小路に入り、心配ばかりが募ります。
その心配の重さにヨナの心は折れそうになりました。
預言者になどならなければよかった。
一体どこで自分の道を間違えてしまったのだろう。
逃げたい。
逃げたい。
逃げたい。
私は静かなところでひっそりと過ごしたい。
私がやらなくても、神様は他の誰かを通してやるだろう。
そうだ、あの声は、私の思い違いだ。
一生懸命自分を正当化しながら、悶々と歩いているうち、
いつしか彼は港にいました。
ニネベとは正反対のこの世の西の果て。
日が沈む終わりの国、タルシシ行の船が出発しそうでした。
そうだ、これに乗ろう!
神様の前から姿を消そう!
こうしてこの船に乗り込み、誰にも見つからぬようにと船底深くに潜り込みました。
穏やかな海、今日のような出航日和がどこにあるだろうか?
船乗りたちが港の家族に手を振って、ゆうゆうと海を渡っていきます。
今日はあの美しい夕陽をみながら一杯といこう!
こうしてタルシシへの長い航海が始まりました。
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