赦し(ゆるし)
神様は、ニネベの町の民が祈る声を聞いて驚きました。
死んだ、と思っていたあの民が・・・
イスラエルの民もこれほどまでの祈りがかつてあっただろうか?
神様はヨナに言いました。
そう心の中で叫び、ヨナに言いました。
「ヨナ、あなたが彼らに、
“私があなた方の心を受け取った。
これからは二度と罪を犯すな“
と伝えてくれ。
私はニネベの町を滅ぼすのをやめる。
彼らは生きているからだ。
完全に死んで、腐って、燃やすしかないと思っていたが、
生きているのだから、
どうして滅ぼすだろうか」
うらはらな心
ヨナは、びっくりしました。
「な、なぜですか?
神様、騙されないでください。
彼らはきっと、今だけです。
裁かないとわかったのなら、私だって騒ぎを起こしたといって、どんな目にあわされるかわかりません。
悪いことをしても、泣いて謝れば済む、と思ってしまったらどうするのですか?
滅びたらいいんです。
彼らはロトのように、町を逃げ出して命だけはたすけてやる、それぐらいがちょうどいいではありませんか?」
「私が裁きたくて裁くだろうか?
いいではないか?
あなたに害を与えるものなどいるはずがない」
そのように神様が説得しても、ヨナの心はかたくなでした。
ヨナはニネベの町を去りながら思いました。
「私一体何なんだ?
大魚の腹の中に入って、命からがらここへきたが、
ニネベがイスラエルをどれほど痛めつけたか、神様はわすれてしまったのか?」
ヨナは神様がさばきをやめるとおっしゃり、本当は一緒に喜ばなければならないはずなのに喜べない自分に腹を立てていました。
ニネベの人々に対する神様の愛に嫉妬している自分がいました。
それを神様に悟られまいと、必死に理由を探しているのに、神様は喜びの涙があふれんばかりです。
そうしてヨナはどこにぶつけることもできない気持ちを神様にぶつけることもできず、怒りながら町を出てイスラエルに戻ろうとしました。
夏の暑い日です。
とうごまの木
緊張の中ニネベでの宣教の疲れもあって、疲れてきました。道の傍らに、葉が多い茂ったとうごまの木がありました。
そのとうごまの木の下に座ると、涼しい風が吹いてきます。
ヨナそこに座ると、すぐにうとうとしてしばし眠りについてしまいました。
今日はここで、休んで、元気を取り戻したらイスラエルに戻ろう。
たまっている疲れのせいか、ヨナは深く眠り始めました。
どころが、神様はその時、多くの虫を放ってとうごまの木の葉を全部食べさせてしまいました。あっという間の出来事でした。
再び、カンカン照りの太陽が強烈にヨナを照らしました。
ヨナは、日焼けで顔がチリチリと焼けつくような痛みで飛び起きました。
虫が葉をすべて食べつくして去っていくのを見てびっくりしました。
もうここでは休めない。
完全に目を覚ましたヨナは、どこにもぶつけようのない怒りがこみ上げてきました。
「くそ!なんでだ!あの虫たち!なんだっていつも俺は貧乏くじばかり引く羽目になってるんだ!くそっ。もうちょっと休ませてくれたっていいじゃないか?
俺の思い通りになることなんて一つもないこの世の中。もう嫌になる!」
ひとりで気がおかしくなってしまいそうなほど怒り狂いました。
その時神様がもう一度
「ヨナ!しずまれ!とうごまにも太陽にも何の罪もない。とうごまの木をからしたのは私だ!」
そうして言いました。
「ヨナ、あなたの労苦を私が知らないだろうか。
あなたなしにニネベの奇跡は起こらなかった。
私は愛の神だ。私を信じる者にも信じないものにも等しく雨を降らせ、地の恵みを分け与える。そうして、行ったとおりに報いる公義のほうを定めて老いた。私はそのほうの中でだけ全知全能なのだ。
どうか私の心をわかっておくれ。
あなたはいつも私が共にして、喜びと恵に預かっているではないか?
私とともに笑い、共に喜び、ともに悲しみ、共に憂う、その祝福より大きな祝福はないのだから。どうか私とともに、ニネベの奇跡を一緒に喜んでほしい。私は愛の神、あなたと永遠に共にする全知全能なる愛の神だから。」
イスラエルに変える旅路でヨナは神様の心の声を聞きました。
「ヨナ、あなたを忘れない。あなたと、ニネベを忘れない。そしてあなたの民族イスラエルを忘れない。愛で私に近づいてきてほしい。私はいつもあなたの愛だけを願う愛の神だ。」
暑いカンカン照りの夏の日差しの中、ヨナは再びイスラエルに戻っていきました。
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