ニネベの奇跡(4)

聖書の物語

大魚の腹の中で

海に投げ込まれたヨナの体はさっと波がさらっていき、人々の前から姿を消しました。

その時、一瞬にして海の深いところにまでさらわれていきました。

気が付くと、大きな袋のようなものに閉じ込められている状態になっていました。

人間が一人入ってもなお足りないほどの大きな魚に飲み込まれてしまったのです。

ヨナは、最後の力を振り絞って、心で強く神様を呼び求めました。

私はあなたから逃げようとして海に投げ出され、海に海の底の奥深くに沈み、今、生きていく道が完全に閉ざされました。

しかし、私は今大魚の腹の中に入っていくことで、海の底深くに沈んで死ぬところから生きるようになりました。

私は今、死を目前にして、一つお願いがあります。もっと神様のために生きたらよかった。ただそれだけが心残りです。

あのむなしいただの木の塊、鉄の塊のような偶像にひれ伏して拝む彼らにエホバだけが神だと私の口で叫びたいです。

もし、あなたがもう一度私を思い出してくださるのなら、私があのニネベの町へ行けるようにさせてください。あなたの御心通りに生きられるようにしてください。

その祈りを聞いた神様は、魚に命じてヨナを陸地に吐き出させました。

そうして神様はヨナに再び言いました。

「ニネベへ行ってくれ!あなたが腹の中で約束した通り、私の声になって私の言葉を伝えてくれ!」

宣教

ヨナはさっそくニネベヘと行きました。

ニネベは、ニネベにある村をすべて回ろうとしたら、どんなに急いでも3日かかるほどの大きい町でした。

ヨナは走りながら道行く人の群れを見るたびに叫びました。

“聞け!ニネベの人よ!”

あきらかにニネベの人ではないヨナの姿にびっくりしてみな珍しそうに立ち止まりました。

“全能なるエホバ神があなた方に告げる。ニネベは滅びる。40日後に滅びる!あなたがたの悪が天にまで届いたからだ!”

多くの人が集まるところでヨナは今までのいきさつを語りました。

“私は、あなたがたが滅びたからとて、何の未練もない。

あなた方はこの世のすべての叡智を知るものだといって自慢しているだろう。

知らないのか?

神はバベルの塔を一瞬にして頽れさせて跡形もなくしたのを知らないのか?

ノアの話を知らないのか?一瞬にして大水を押し寄せさせて町を飲みつくしたのだ。

ソドムとゴモラを知らないのか?天から降ってきた火の玉が一夜にして飲み込んだことを。

ニネベよ、あなた方の悪は天にまで高く積み上げられ、その罪もろともへし折られ跡形もなくなるその日が近い。

私は信じる者にも信じぬ者にも、行ったとおりに報いる全能なるエホバである。“

“エホバは私にニネベのすべての民にこれをつげよ。とおっしゃった。私は3日の道を急いでいく”

こういいながら走り去っていきました。

ヨナの話を聞いた人々は、ヨナの言葉を聞いて恐れおののきました。

魚の腹から生き返ってきたって?

なんと恐ろしい。。

“まことにこの預言者の言う通りだ。先ごろカラスのおびただしい群れが舞い降り、不吉なことが起こるのではと騒ぎになったではないか?

彼のほかにもニネベの終わりを告げる占い師の何と多いことか“

そうして違う人が

“私たちはもうこの町を捨てていくしかないのか?”

また違う人がいいました。

“いや、私たちに滅びると最後に教えてくださるというのなら、もしかして、私たちの願いを聞いてくださろうとしているのかもしれない。

どうせ死ぬ運命だというのなら、今一度エホバ神様とやらに頼んでみようではないか?“

こうして、ヨナのうわさは1日にして広まり、王の耳にまで届きました。

王はいいました。

「我はこのニネベを預かる王である。我がニネベの民が1人でも失われてはならぬ。ましてや一夜にして滅びるなどということがあってよいだろうか?

一夜にしてこの町を滅ぼす強大な神がいるというのなら、私はその神に加護を希おう

もしかして神が心をひるがえしてくださるかもしれない。」

こうして王はニネベの町にお触れを出しました。

「イスラエルから来たアミタイの子ヨナの託宣。皆心して受け入れるべし。

ニネベは今、わが王とともに、牛も馬も、生きとし生けるものすべて

何も食べてはならぬ、水も飲んではならぬ。

ひたすらヨナの言う神に呼ばわれ!」

王の命令を受けて、ニネベの町のありとあらゆる人々がひざまずき、神に祈りました。

ニネベの町の通りは静かになり、皆家でひざまずいて祈りをささげました。

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