名言の力
歴史が好きな歴ジョや、理系女子を表すリケジョ、山登りが好きな山ガール、仏像を見て回る???等、様々なブームがありますね。最近は、孔子の論語をはじめとした四書五経という中国の古典から出てくる格言に注目が集まっているようです。
ドラえもんや様々な漫画や、有名なドラマも「セリフの中にある名言」が人々を感動に導いたり、あるいは印象深く見る人に影響を与えたりします。何の思想にも影響されないといっても、ちょっと気の利いた一言がぱっと出てくる人をみると、なんか惹かれますよね・・。
他、コンビニなどで通りかかってみると「反論する技術」とか「話し方」「接し方」のHow to本が多いです。短くわかりやすいけれど、核心をついた言葉を持っている人は、やはり人生が有利ではないかなと思います。
武士道
多くの西欧諸国は「聖書」に基づいた道徳観というものがあります。彼らの中は、何らかの信仰を持っていないと、生きていく上での「教科書」がないため、「人間らしさ」のない「野蛮な人」と考える人たちもいます。
開国した折、諸外国と渡り合っていくため、世界の人々に、日本人は野蛮なのではない、生きていくための哲学のようなものがある、と諸外国の方々に知らせる為に新渡戸稲造がいたのが武士道です。
この本のもとは、葉隠(はがくれ)、(正式名称は「葉隠聞書(はがくれききがき)」。)という本です。
葉隠は、鍋島(なべしま)藩士であった山本常朝(やまもとつねとも)の談話を田代陣基(たしろつらもと)が書いて本としたものです。有名な言葉に「〈武士道といふは,死ぬ事と見付けたり〉」というのがあります。
かの有名な文豪三島由紀夫が「葉隠入門」という形で取り上げたこともあります。そのせいか、一時期は日本人が戦争でハラキリとか特攻隊などの関係で諸外国から恐れられ、軍国主義を葬るときに一緒に下火になってしまったのではないかと思います。
菜根譚(さいこんたん)
同じように、軍国主義的だと言われて下火になっていましたが、松下幸之助や、野村克也さんなどがこの本の愛読者で、再度脚光を浴びている本が菜根譚(さいこんたん)です。「野菜の根の話」という意味です。
人は常に菜根(野菜の根)をよく咬んでいれば、あらゆる事はなしとげられる。(野菜の根は堅くて筋が多いけれど、それを苦にせずよく咬めば、世の中の真の味を理解できるという意味です。)というところから、この名前がつけられています。
中国明朝末期(1600年頃でしょうか?)に洪自誠(洪応明、還初道人)という人が書いたものです。
すばぬけて古いのは聖書の「箴言」
孔子の論語などからなる四書五経、葉隠、菜根譚など、わかる限りで時代順に並べてみました。
- ソロモン(聖書:箴言) 紀元前961年生まれ
- 孔子(論語) 紀元前551年生まれ
- ソクラテス(無知の知) 紀元前460年頃
- アリストテレス 紀元前384年生まれ
- 孟子 紀元前380年頃
- 葉隠 1590年頃
- 菜根譚 1600年頃
これを見ると圧倒的に箴言が古いことがわかります。当時日本は縄文時代も始まっていないわけですね^^。
余談ですが、箴言を書いたソロモンは若い時に「雅歌書」を、中年頃に「箴言」を、そして箴言の後に歳をとってから「伝道の書」を書いたといわれています。
なお、伝道の書は、別名「コヘレトの言葉」(新共同訳など)と書かれていますが、コヘレトは「集めるもの」という意味で訳して伝道の書と言われているそうです。
共通点と違い
案外と 言葉の使い方や、怒りなどの心のマネージメント等についてはすごく共通点が多いと思います。
知者の言葉は突き棒のようであり、またよく打った釘のようなものであって、ひとりの牧者から出た言葉が集められたものである。我が子よ、これら以外の事にも心を用いよ。多くの書を作れば際限がない。多く学べばからだが疲れる。
伝道の書/ 12章 11節 ~12節
それでも、箴言がほかの書物と違うところを挙げよというのならば、
- 「菜根譚」や「武士道」が「人に対する処世術」に重きが置かれているのに対して、
- 「箴言」は、「知恵の源」は「天」から来るという考え方が根底にあるなと思います。
多くの書がありますが、シンプルに疲れないで学ぼうとするならば、やっぱり箴言が一番疲れない気がします。(個人の所感ですけれどね^^)
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