鷹の視点

Bible Study

塩野七生さんが高校生と対話するという番組を見ました。塩野七生(しおのななみ)さんは日本の歴史作家、小説家です。イタリア、特にローマに関連した著書が多いことで有名です。
番組の中で、「鷹の視点」を持ちなさいとおっしゃっておられました。日本語では、鳥瞰(ちょうかん)といって鳥の目といいますが、イタリアではこれを「鷹」に絞って言うのだと。

鳥瞰(ちょうかん。俯瞰(ふかん)ともいう)的な、いわば上から見下ろした、つまり視野の広い、全体を見渡すような観点をもって、といったことが話の要点だったかと思います。
古代ローマに限らず、歴史上、鷹や鷲を好む人たちは多いです。日本でも、徳川家康が鷹狩りがたいそう好きだったということで有名です。

鷹の目

特に、鷹の目、と言うことにだけ絞って調べてみると結構おもしろかったです。
ビジネスの世界では案外とよく知られている言葉で、「鳥の目、虫の目」というのがあるようです。

上から全体を見通す鳥の目のような観点と、虫のようにマクロな観点でものを見る、2つの観点が必要だ、ということのたとえだそうです。
「鳥の目、虫の目」に「魚の目」を加えた3つの目、というのもあるようで、魚の目は、流れを見極める目だということを加えるといったこともあるようです。

この言葉の出自は古典ではないようで、「鷹の視点」というイタリアの古くから伝わる言葉をもとに、誰かが加えたのではないだろうかとも思いましたが、やはりわかりませんでした。
それでふっと調べてみたんです。動物たちの視力について。

魚の視力

魚の視力はおよそ0.1~0.6程度。近年、線の見分けは、通常の視力に対して2~3倍あるといわれていますがそれだって人間の視力を超えられるものではない。ということがわかりました。
流れを読むというのは、要は、目で見るというより、魚の皮膚感覚のようなもののようです。

虫の視力

虫の中でも、ありについてしらべてみました。蟻は普段、暗い土の中で生活をしているため眼が退化しており、視力が弱いといわれていることがわかりました。他にもトンボとか、昆虫たちを調べてみました。昆虫の目は複眼(目が複数集まって一つの目を構成している)で小さな虫を捕まえられるから視力がよさそうに見えるが、視力は、0.01にも満たないということがわかりました。
匂いなどのまた違った能力は敏感かもしれませんけど^^

鳥の目

一般的には、鳥類がもっとも目のいい動物だと言われていて、その中でも、特に目がいいと言われているのが、鷹だそうです。

そもそも、目の構造自体が、人間に近く、その上目の細胞の数自体が人間をはるかに上回っているそうです。人間の視細胞(光刺激を吸収し電気信号へと変換する役割をはたす細胞)は約20万個あると言われているのですが、鷹にはなんと、約150万個もの細胞があるそうなんです!!
そして、夜盲症(やもうしょう:夜になると目が見えづらくなる人間の目の病気)のことを「鳥目(とりめ)」というため、鳥は一部の鳥を除いて暗いところ、夜間には視力が弱くなると思っていますが、実はそうではないそうです。

ですから、暗くても、明るくても、鳥は人間と同じような目の機能を持ち合わせており、それがすべて数倍の能力で、ということになります。

ですから、1000m先の昆虫を見つけることもできるといったマクロな視点もあれば、当然視野が広いですし高いところを飛んでいるわけですから、全体も見渡せるというわけです。

余談ですが

鷹の視力は、人間の数倍と書きましたが、これは平均の視力を1.0前後と仮定した話です。視力でいうと6.0~8.0ぐらいといわれているそうです。まあ、視力1.0っていうのが世界の平均と考えていいでしょうね・・
ギネスの世界で一番視力がいい人は視力11.0だとか・・・。世界で一番視力がいいといわれているのがマサイ族。平均は3.5とか。逆に、世界で一番視力が弱い国って日本人なのだそうです。日本人は平均0.6~0.8。
意外に差があるんですね・・

鷹の視点

だから、鷹は、

全体を見通す視野の広さという意味でも優れているし、物事を精密に、的確にとらえるという意味でも鷹の目が優れているし、夜でも昼でも、様々な状況に左右されて見えたり見えなかったりすることもない

という面でも優れているのかなと思いました。

目で見たものを脳で処理して「観る」という言葉になっていきます。見なかったことにしよう、っていうやつです(笑)ですから、最終的には「観る」が大事になるのでしょうが、まずは「鷹のような目で見る力」を付けたいものだと思いました。

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