ヘロデ(後編)

Bible Study

今日は、聖書にたびたび登場する「ヘロデ王」について調べました。
彼の名は「ヘロデ・アンティパス」、イエス様は、彼を「きつね」と呼びました。

ヘロデ・アンティパスの生きた時代

ヘロデ・アンティパス(以下ヘロデ)は、在位 紀元前4年-39年。
イエス様はヘロデの父ヘロデ大王が亡くなる少し前に生まれ、ヘロデ大王の死後、ナザレというイスラエルの北の地域に住むようになります。
その後、エルサレムのゴルゴダ(されこうべ=がいこつ)の丘で十字架で亡くなる日も、彼がイスラエルを治める王でした。

父ヘロデ対応の混乱に乗じて

もともと、父のヘロデ大王は、ヘロデの兄弟「アルケラオス」という人が後継者として指名されていました。
しかし、父ヘロデ大王に対してユダヤの民たちは重税に苦しめられていたため、彼の死後大きな反乱がおこりました。
ここに、自分の王位継承が危ない!と思ったアルケラオスがローマ軍の兵士を投入し、反乱を「見ていただけの」人3000人を、殺しました。

「アルケラオス」に対して、ヘロデは、「あいつは人格的にもイマイチだし、父は晩年ボケてましたから、正確な判断ができたかわかりませんよ」などとローマに情報を流しました。
おまけに、「アルケラオス」がローマで「そんなわけないやん!」と正当性を主張している間に、前述の反乱がおこって、軍事的にローマが介入しないといけない状況になったため、ローマが「お父さんのいうことも尊重しつつも、じゃあ、兄弟で分けてそれぞれリーダーやれば?」というふうにして、最初は2つにわけて治めていました。

残忍なアルケラオスの最期

王に任命してもらえずとも、なんとか一部の領土は治めてよいといわれ事実上南側の王として君臨していたアルケラオス。
しかし、在位期間は短いものでした。
ヘロデ王たちがローマに直訴したように、アルケラオスは治世がきわめて残忍であったため,ユダヤ,サマリアの住民からローマ帝国に直接訴えられることになります。時代を重く見たローマが、紀元6年(父の死後10年後ぐらい)でローマで彼を裁判にかけ、ガリアに流刑となります。
(日本的に言うのなら、島流しの刑のようなものでしょうか)
その後、エルサレムやサマリヤなどの南の地域は、ローマが直轄する領土になりました。これが、イエス様が十字架で亡くなる時、ピラトが出てくる背景にもなります。

ヘロデの足跡

ヘロデ彼の治世は40年以上に及びました。その間、新しい町を建設しています。
ペテロがイエス様と出会った「ガリラヤ湖(別名 ゲネサレ湖)のほとりに温泉街を築くこともしています。この町の建設に携わっていた人間の一人がおそらく、「イエス様の父、ヨセフ」ではないかという説が有力です。

ヘロデに破滅をもたらした妻、「ヘロデヤ」

もともと、ヘロデは政略結婚のような意味合いで、同じくローマの属国だったナバテア王国の姫を妻としていましたが、異母兄弟の妻であるヘロデヤと不倫の末、略奪婚のような形になってしまいます。
おこった前妻が実家に逃げ込み、それがもとで怒った義理のお父さんに戦争を仕掛けられ惨敗します。
ここでも、ずる賢いヘロデがローマ帝国に訴えて法の力で解決しようとしたような展開になり、その後義理のお父さんもなくなってしまったということで、なんとか、事態を治めます。

が、ここでこの異性問題に口出ししたのがイエス様のいとこにもあたる「バプテスマのヨハネ(別名 洗礼ヨハネ)」でした。
これを快く思わなかったヘロデ王は新しい妻ヘロデヤと結託し、娘サロメを言い含めるなどして、最終的にヨハネの首を切って殺してしまいます。

その後、アグリッパ王が出てきたとき、ヘロデヤが夫であるヘロデにけしかけて「あなたも王の称号をもらいましょうよ」とローマへ行ったところ、アグリッパ王がローマ帝国に根回しをしてあり、彼の非行、周辺の国との衝突、ローマの掟に背いて大量の武器を持ってるとも証言されてしまい、王になるはずがこちらも「島流し」。その後は、流刑地で死んだとも、殺されたとも、、いずれにしても没落人生となってしまう展開です。

イエス様は彼を「きつね」と呼んだ

パリサイ人がやってきて、「ヘロデがあなたを殺そうとしています」と言ったとき、イエス様がおっしゃいました。

そこで彼らに言われた、「あのきつねのところへ行ってこう言え、『見よ、わたしはきょうもあすも悪霊を追い出し、また、病気をいやし、そして三日目にわざを終えるであろう。

ルカによる福音書/ 13章 32節

オーロラを起こすのはキツネだとか、日本の神社でも「お稲荷さん(おいなりさん)」という神がキツネだったりもしますが、大抵は、「ずる賢い」「人をだます」という意味で使われることが多いのではないでしょうか?
イエス様がお使いになられた意味も、あまりよくない意味だということが前後の文脈からわかりますが、狐についてちょっと調べてみたら面白かったので最後にご紹介。

  • 孤独 キツネは群れを作りません。孤独の孤 →キツネでしたね!
  • 狩りがうまい → 昆虫、小さな哺乳類を食べます。時速50kmほどの早いスピードで走ったり、1m以上ジャンプして野鳥を捕まえるなど、運動神経抜群なうえ、相手によって仮の方法を変える動物です。獲物を捕らえるときに足音を立てず忍び寄るなど、仮の方法から「ずる賢い」と言われるのです。
  • 警戒心が強い動物 →天敵は大型の猛禽類(鷲・鷹・フクロウなど)で、常に上からの攻撃が怖く、臆病になっているようです。とても神経質で、人間に心許すなんてほとんどないそうです。実際、孤独な動物ですしね・・

つまりイエス様は、ヘロデを「友達いなくって、ほんとは怖がりの強がりなお調子者」、そして、「ずる賢いけど、お前みんなに嫌われとるで!」っておもっていらっしゃったのかなーと思ったりしています。。

父のヘロデ大王よりは残忍さは少ないといわれた者の、きっと孤独で、最も愛したヘロデヤとの愛を貫いたものの、彼女がいわゆる「さげまん」で人生裏切られてばかりの苦しい人生だったのかなーと思います。

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