アブラハム物語(8)

聖書の人物

イサクの誕生

サラは
「私はもう年を取りすぎていますから、私の胎から子を産むことはないでしょう。」
といって、サラはサラに仕えていた女ハガルをアブラハムの第二の妻とし、彼女の子イシマエルを産ませました。

ところが、神様は、サラの胎から出た子がアブラハムの後を継ぐとおっしゃいました。
サラが心の中で笑いましたが、神様は全知全能な私を知らないのか?とおっしゃいました。

かくして、笑いという意味を持つ「イサク」はサラから生まれました。
こんな年齢になって子供ができるとは・・。
人々は私をみて、笑うかもしれませんが、私はうれしくて、笑います。
イサクは私に神様がくださる喜びを持ってきた!

サラはイサクという喜びに再び生きる勇気と力を得ていきました。
イサクは、アブラハムのとサラの深い愛、神様の大きな恵を受けて知恵深く成長していきました。

時には、神様のことも忘れてしまうほどに、イサクの笑顔に引き込まれてしまう二人の姿がありました。

割れた岩

ノアの時代から神様の前に出るとき、人々は牛や羊、鳩を捧げてきました。
それはアブラハムの時も同じでしたし、イエス様が来られる時までずっと続きました。

アダムとエバによって穢れ(けがれ)てしまった人間より、清くて美しいものを捧げるしかないとおっしゃいました。
動物はいつも神様の法則に従って変わらず生きて罪を犯さないからです。

牛は神様のための犠牲をいとわない、という意味をこめて
羊は神様にいつも従いますという意味をこめて
鳩は神様の前にいつも純粋で清い生き方をしていきますという意味をこめて
神様と人間の間を取り持つ捧げものとして丁寧に捧げていました。

動物たちの尊い命をささげることで、私の人生と尊いすべてのものを受け取ってくださるようにと長い時間をかけて祭壇を築いていました。

動物は2つに裂くのが習わしでした。
いいものと悪いものを分けて、よいところだけをあなたに捧げますという意味があるから、裂くという行為はとても大切なことでした。
しかし、ある日、アブラハムは鳥を裂くのを忘れてしまいました。

その鳥を神様は受け取ることができませんでした。

土台が割れていたら、その上に宮を建てることができるだろうか?
アブラハムの祭壇の失敗がその後の歴史に大きく響く失敗になってしまったのです。

風前の灯火

神様は、ご自分の定めた法則の中でだけ全知全能です。
神様は時を定め、神羅万象の様々な法則を定められました。
その精緻(せいち)な法則の1つを感情的にねじ曲げてしまうのなら、すべてがだめになってしまいます。

神様は、思いました。
「人間は私を不思議の神だという。理解できないという。
非情な神だという。
すべてのことを思いのままになさる神が、どうしてできないのですか。という。
しかし私は、秩序の神だ。私が秩序を乱してしまうのなら、あなたたち人間もこの世のすべての万物も存在することができない。
だから私は、哀切な心で人間に静かにお願いすることしかできない。」

時を巻いて戻すことは神にもできません。
割れた岩をもとに戻すことはできません。
アブラハムの祭壇は、長い年月かけて険しい山と山をつなげる1本の綱のようなものです。
容赦のない雨風が綱を揺らしていくように、小さなろうそくの明かりが消えていこうとしています。

信じる岩

あの悪魔どもが、小さな点のようなアブラハムの失敗を通してすべてを奪おうとしているのです。

神様の胸が締め付けられるようになりました。
苦悶でその顔はしかめられました。

鳥は止まり木がなければ地に降り立つことができない。
全知全能な神である私も、この地で人間に働きかけようとするのなら、私が降り立つ岩がなければ何もできない。
岩とは何だろうか?
絶対的に私を信じて変わらない一人の人だ。

長い年月地球に穴があきそうなほど人間を眺めました。
アブラハムは元、偶像に仕える家の子です。
神様を知らない家で生まれました。
しかし、偶像の神に伏して拝む姿を見て神様は彼らを選ばれました。

”あのように、木で作られて動くこともできない、話すこともできない、ただの塊をあれほどまでに大切に思えるのならば、
私はいかほどだろうか?”

もろく壊れた土台の上には私は乗れない、
ならばいっそ、彼らの信じる心にかけてみよう、
こうして、宮殿の外のさびれた場所でくねくねと曲がりながらたっている一本の強い松を宮の中へと移すように、彼を呼んできたのです。

ほかに誰がいるだろうか?
アブラハムのほかに私の存在を証明してくれるものが・・。

もう一度祭壇を築くようにさせよう!
けれど、悪魔たちが言いました。

「失敗しても何度でも許すのなら、俺たちの失敗も許してくださるのが筋ではありませんか?」

もっといいものを捧げる、それ以外に道がなくなりました。

イサクを捧げよ

神様は、静かにアブラハムに問いました。

「あなたが私のほかにこの世で最も貴重で自分の命より大切なものは何か?」

アブラハムは答えました。

「神様が不思議な御業を起こしてくださった我が子イサクです。
彼のためなら私はこの命も惜しくありません」

その後、神様は言いました。
「唯一絶対の神を信じない人々も、海の神が怒っているとか山の神が怒っているのだといって、人を柱のように投げ込む。それは神の前に最も貴重な命を投げ込んでこそだという考えがあるのだろう?
あの動きもしない、語ることもない、あの木の塊にさえそのようにするのじゃないか。
あなたが私を本当の神だというのなら、
私が受けとることができなかった鳩に変わって、
あなたの最も貴重なものを捧げなさい。」

続けて言いました。

「あなたに3日の時間をあげよう。
3日の道のりを言ってモリヤの山の頂であなたの命よりも大切なものを捧げなさい
そうしてこそ、私はあなたを信じる。」

絞り出すような声で神様がゆっくりとアブラハムに語り掛けました。

アブラハムは、何も言わず、ずっとうつむいていました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました