ベタニヤへ
過ぎ越しの季節が近づいていました。
イエスはエルサレムに向かって丘や砂漠を超えて進みました。
幼い頃、父ヨセフと母マリヤに連れられて通った道に出てきました。
今もこの道は固く、この土地はものさびしく、乾ききっています。
それにもかかわらず、イエスが幼い時と変わらず、多くの人々が過ぎ越しの巡礼に向かうため旅をしていたのでした。
そうしながらベタニヤという場所までたどり着いたのです。
ここは、以前、重い皮膚病を患っていたクレネ人のシモンという人が家を持っていました。
そうして、是非私の家に泊まってくださいとイエスを歓迎しますといって出迎えてくれたのです。
マリヤとマルタ、そして兄ラザロ
ベタニヤという場所には、マリヤとマルタ姉妹とその兄ラザロもいて、いつも喜んで迎えてくれるのでした。
特に、ラザロは以前死んでいたところを生き返り、イエス先生に特別な感謝をささげたいと思っていたところだ、と再会を喜んだのでした。
姉のマルタが、イエス先生、それではゆっくりとお食事でも、というと、
いや、先に私から御言葉を聞いてほしいと言いました。
そうして、イエスはゆっくりとベタニヤで集まっている弟子たちに話を始めました。
マリヤとマルタ姉妹とその兄ラザロは、一番前でイエスの御言葉を聞いていました。
ラザロが生き返ったことを神様に感謝し、死んだ人が生き返るという復活もあるが、私たちの精神がよみがえらなければならないという御言葉を伝えられたのです。
そうして、よみがえりについて話しながら、人の子は神の前で十字架にかけられていくことを話されたのです。
最後に、あなたたちのなかにいつも神様の愛をもって、仲睦まじく過ごしなさい。私が今日哀願していることだから忘れないでと言いました。
3人は静かに顔を上げてイエスの顔をじっと見つめました。
そのあと、マルタはいつもように食事の用意をはじめ、ラザロはもてなしの用意を始めたのです。
マリヤの告白
マリヤは御言葉を聞いて居ても立っても居られなくなりました。
マリヤは自分を完全に清くして、きちんとした服に着替えました。
そうして、イスラエルの娘が婚姻の時に持っていくという高価な香油の壺を持ってイエスの前に出ていきました。
そして、マリヤは言いました。
イエス先生、神様が遣わしてくださったイエス先生がどれ程貴重なのか、今日もっと深く悟りました。
私はイエス先生に出会って神様を愛して生きられるようになった感謝と喜びをお伝えしたい。
私の人生はイエス先生によって180度変わりました。
私には富も名誉もありません。しかし、私がこの香油の壺を割ってあなたに捧げるように、
私の人生のすべてを神様の御心のあるところに捧げていきたいのです。
そういって香油の壺を割り、新婦が新郎にするようにイエスの足に油を注いで髪の毛でふきました。
香油のよい香りが部屋中に漂いました。
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