使徒たちの名前、その意味(前編)

聖書の人物

「使徒」とは、新約聖書から登場する単語です。使徒とは「つかわされたもの」という意味です。預言者とも祭司とも異なる役割を担っています。

使徒は何人?

有名なのは12弟子、そしてイエス様の死後使徒として活躍する「パウロ」、そのほかイスカリオテのユダがイエス様を裏切った為、使徒としての役割を果たせなくなったため、補充される形で選ばれた使徒「マッテヤ」、合わせて14人がいます。(当時使徒として別途活躍していた人もいるかもしれませんが、明確に名前が残っているのはこの14人です)

12弟子=12使徒、イエス様が選んだ12人

このころ、イエスは祈るために山へ行き、夜を徹して神に祈られた。
夜が明けると、弟子たちを呼び寄せ、その中から十二人を選び出し、これに使徒という名をお与えになった。

ルカによる福音書/ 06章 12節~13節

イエス様が徹夜で祈って選んだのが12使徒です。使徒を別名12弟子、12使徒というのはこの時イエス様が祈って選んだ12人を意味します。

使徒にはどんな人がいたでしょうか?

ペテロ

元の名は「シモン」。イエス様が、「岩」という意味の「ペテロ」という名前を与えました。元は漁師で、兄弟アンデレを通してイエス様につながるようになったといわれています。
その後イエス様に「あなたはいける神の子キリストです」と人類で初めて告白した為、「頭弟子」「一番弟子」と呼ばれています。

イエス様が十字架で亡くなるとき、あなたは3度私を知らないというだろう、というイエス様の言葉の通りに、3度知らないといってしまいます。
が、イエス様が復活して霊となったとき、改心し、イエス様から3度私を愛するか?と聞かれ、愛しますと答え、「私の羊を飼いなさい」と言われたのち、福音を述べ伝え続け、初代教皇となります。
1日に3000人を伝道したこともあったといった聖書の記述もありますが、最後ローマで逆さ十字架にかけられなくなります。

アンデレ

ペテロの兄弟で、名前の意味は「男らしい」
小さい魚2匹と大麦のパン5つをもっている少年をイエス様のところへ連れてきたのがアンデレだったと記述があります。

アンデレはもともと洗礼者ヨハネの弟子であったが、イエスを「神の子羊だ」というヨハネの言葉を聞いてイエスに従ったと記述があります。

ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。

ヨハネによる福音書/ 01章 40節

その後、兄弟であるペテロにキリストにあった!といって連れてきたとの記述があります。また、聖書に記述はありませんが、伝承ではX型の十字架にかけられて殉教したと語り継がれています。

ヤコブ

名前の意味は「押しのける者」
旧約聖書に出てくる、イサクの息子「ヤコブ」と同じ名前。

ヤコブの手紙を残した人物。
漁師であり、父ゼベダイと協力して家業を営んでいました。
兄弟は同じく使徒である「ヨハネ」。
「雷の子」とイエス様が名付けた人物です。

またゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。

マルコによる福音書/ 03章 17節

信じない人に火の雨を降らせるように神にお願いしましょうとイエス様に提案してみたりしたことから、
気性が激しかったのでこの名がつけられたといわれています。
イエス様が最後にゲッセマネの祈りをしたときに連れて行った弟子の一人であり、
ヤコブの手紙は「実践」を重んじたわかりやすいもので、短いけれども多くの示唆に富む文章です。

12使徒の中では最初の殉教者で、AD44年頃アグリッパ王により処刑されました。
首を切られて死んだと言われています。

ヨハネ

名前の意味は「主は恵み深い」

ヨハネによる福音書、ヨハネの黙示録を書いたことでも有名な使徒。
イエス様はなくなる時、母マリヤの世話をこのヨハネに頼みました。

ヤコブの兄弟で12使徒の中で最も年齢が若かった為、最後の晩餐の絵画の中でも女性のように描かれていることから、イエス様の女性の弟子マリヤとの恋愛を思わせるような物語が映画となり、世の中を席巻したりもした人物ですが、そういったことは殆ど創作で、現実は使徒として一番若かった為、女性のように描かれていたと考えるのが一般的です。

晩年、イエス様の預言通りにパトモス島に流されて、一人殉教を免れたといわれている。とはいえ、無人島に一人放り出されたような格好で、死よりも大変な苦しみを経験したとも言われています。

もちろんイエス様のいとことなる、バプテスマのヨハネ(洗礼ヨハネ)とは別人物ですよ^^

ピリポ

名前の意味は「馬を愛する者」

フィリップとかフィリポも同じ名前です(読み方の違い)。
ギリシャ語の名前と言われており、ユダヤ人としての名前は別にあったという説もありますが、ユダヤ人としての名前は知られていません。

アンデレやペテロと同じく、漁師。
ナタナエルをイエス様の元へ連れてきたことで有名。
空腹の5000人が食べ物を必要としているとき、イエス様はピリポの信仰を試しました。
最後の晩餐の時、イエス様に自分たちに父(神様)を見せてほしいと頼み、
「私が父におり、父が私におられる」という名言がイエス様から出てきました。

彼も、磔(はりつけ)になって殉教しています。

バルトロマイ

名前の意味は、「タルマイの子」
記述がとても少なく、聖書には1回だけ出てくるのみで、意味も父の名前に由来する呼び名であるため、本名は異なり、
ヨハネによる福音書での12使徒のリストから見れば、バルトロマイとはピリポが伝道した「ナタナエル」と同一人物ではないかという見方が一般的です。

彼は皮を一つ一つはがされていく刑で殉教しました。
そのため、ミケランジェロの「最後の審判」という絵画の中でもはがれた自分の皮とナイフを持った姿で描かれています。

トマス

意味は「双子」
ギリシャ語では「デドモ」という名前でした。
疑り深い「トマス」として有名で何事も率直にものをいい、自分で見て触れるまでは信じないといった姿勢から、日本人男性に特に人気のある使徒のひとりでもあります。

イエス様が霊で復活したということが信じられず、十字架にかけられたときに手を釘で打ち抜かれた穴の中に手を入れて初めて信じたというエピソードが有名な人物です。

「トマスによる福音書」という外典があるとも言われています。
最後には槍で刺し通されながら殉教しました。

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