イエス様が生きた時代のイスラエル(ユダヤ)では、
1)ユダヤの通貨
2)ローマの通貨
3) ギリシアの通貨
が流通していました。
民を治める政治家たちは自分の権威を誇示しようと、自分の顔や名前を刻んだ貨幣を作らせました。
イスラエルは、ローマの皇帝の支配下でありながら、 ローマからユダヤの王として認められたヘロデ王が直接統治していたこともあり、通貨を見ても当時の政治的な混乱ぶりがよくわかります。
重さの単位であり通貨の単位
最初に使われ始めたのは、紀元前3000年頃のメソポタミアと言われています。
しかし、旧約聖書は、銀だけではなく、金や銅の重さの単位として使われていたことがわかります。
らくだが飲み終ったとき、その人は重さ半シケルの金の鼻輪一つと、重さ十シケルの金の腕輪二つを取って、
創世記/ 24章 22節
銀の重さがそのまま貨幣の価値と等しい通貨がシケルでした。
神殿税
ユダヤ教の会費のようなものだと考えていいでしょう。この神殿税から、銀貨1枚が1シケルということがわかります。
すべて数に入る者は聖所のシケルで、半シケルを払わなければならない。一シケルは二十ゲラであって、おのおの半シケルを主にささげ物としなければならない。(中略)あなたがたの命をあがなうために、主にささげ物をする時、富める者も半シケルより多く出してはならず、貧しい者もそれより少なく出してはならない。
出エジプト記/ 30章 13節~15節
1名あたり、銀半シケルを神殿税として納めるのがモーセのころからの決まりでした。これはイエス様の時代まで続いていましたが、ペテロもイエス様もお金がなく、この神殿税を治められずに困っていました。神殿税を支払うことができずに困っているペテロにイエス様がこうおっしゃいました。
しかし、彼らをつまずかせないために、海に行って、つり針をたれなさい。そして最初につれた魚をとって、その口をあけると、銀貨一枚が見つかるであろう。それをとり出して、わたしとあなたのために納めなさい」。
マタイによる福音書/ 17章 27節
1人分半シケルなので2人で1シケル=銀貨1枚ということになります。
シケルの貨幣価値
金より銀がもっと価値がある時代がありました。参考サイト:銀の価値を見ると、アブラハムの頃と古代ローマでは、銀の価値が10倍ほどの開きがあることがわかります。その後明治時代以降に銀の産出量が増えたことで価値がさらに変化したようです。
古代では、2デナリが1シケル、というのが一般的だと考えるようですが、シケルは重さの単位であったり、時代によって重さがいろいろ異なって計算がしづらいようです。
が、先ほどの参考サイトをもとに計算してみると、(現在の銀1gの価値から逆算する方法)
アブラハムの時代では、1シケル=銀10g →46700円程度。
古代ローマでは、1シケル=銀8g →8000円程度(実際は10000円程度とよく言われています。)ということになります。
現代のシケル
現在のイスラエルでも通貨単位は「シケル」です。
1980年以降、イスラエルの通貨としても使われていましたが、1985年以降「新シェケル」として紙幣に置き換わっています。
ちなみにこの「新シェケル」は、約30円前後で為替取引されているようです。
結構違いますね^^;
高いお買い物
旧約時代の銀の価値から金より銀がとんでもなく高かったと仮定して、どんな高い買い物をしていたのか、銀のシケルだけで調べてみました。
(時代によって価値が変わっている可能性があり、正確とは言えないかもしれませんのでそのあたり、ご了承ください)
第4位 アカン
わたしはぶんどり物のうちに、シナルの美しい外套一枚と銀二百シケルと、目方五十シケルの金の延べ棒一本のあるのを見て、ほしくなり、それを取りました。わたしの天幕の中に、地に隠してあります。銀はその下にあります」。
ヨシュア記/ 07章 21節
ヨシュアの部下「アカン」が戦利品を横領したことを白状したシーンです。お買い物ではないんですけど、アカン(人名)がどれだけあかん奴か!
銀だけで200シケル = 8千万
おうおう、1億円ぐらい横領したってわけですね!すごっ!!!
そりゃ怒られるわ!
第3位 戦車
エジプトから輸入される戦車一両は銀六百シケル、馬は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが王の貿易商によって、ヘテびとのすべての王たちおよびスリヤの王たちに輸出された。
列王紀上/ 10章 29節
エジプトの戦車、1億2千万。
第2位 アブラハムの妻サラの墓地
「わが主よ、お聞きなさい。あの地は銀四百シケルですが、これはわたしとあなたの間で、なにほどのことでしょう。あなたの死人を葬りなさい」。
創世記/ 23章 15節 ~16節
そこでアブラハムはエフロンの言葉にしたがい、エフロンがヘテの人々の聞いているところで言った銀、すなわち商人の通用銀四百シケルを量ってエフロンに与えた。
1億6千万の墓地って!!
第1位 ゲラルの王アビメレク
またサラに言った、「わたしはあなたの兄に銀千シケルを与えました。これはあなたの身に起ったすべての事について、あなたに償いをするものです。こうしてすべての人にあなたは正しいと認められます」。
創世記20章16節
アブラハムの妻と知らず、(アブラハムが妻を妹だと偽って紹介したため)、アビメレク王が妻に、と召し入れたら、神様に「アブラハムの妻や!」と怒られて、真相を知った王が慌てて賠償金としてアブラハムに支払ったお金です。
この時のお金が残っていて、サラの墓地に400シケルを支払ったのかもしれませんね・・
結構調べると難しかった・・・・。でも調べてみてわかったのは、イエス様がいらっしゃった当時のイスラエルがローマ帝国の様々な目論見に翻弄され、社会は混沌としていたのだと思いました。
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