「さいわい」:「幸い」と「福い」

聖書によく出てくる「さいわい」

詩編 1:1
悪しき者のはかりごとに歩まず、罪びとの道に立たず、あざける者の座にすわらぬ人はさいわいである。

他にも「八福の教え」として有名な、マタイによる福音書 5:3-12
〇〇な人はさいわいである・・・

などがあります。
口語訳ではこの「さいわい」と書かれているところを文語訳では、「福い(さいわい)」と書かれていました。
なぜ、「幸い」と書かずにひらがなで書いているか、ご存じですか?

同じ「さいわい」を意味する「幸」と「福」は、詳しく見ると意味が少し異なります。
英語でも、「Hapiness」と「Bless」で少し違うと考えていいでしょう。

「幸」の語源


「幸」とは、両手にはめる刑罰の道具である手枷(てかせ)(今でいえば手錠)の形から出てきた漢字です。
両手に手枷(てかせ)をはめられてひざまずいている人を後ろから抑える形は、「報」という文字。
「報い(むくい)」ですね・・。
「倖」形声文字です(人+幸)。「横から見た人」の象形(「人」の意味)と「手かせ」の象形(幸いにも手かせをはめられるのを免れて「幸せ」の意味)から、「さいわい(幸せ)」
を意味する「倖」という漢字が成り立ちました。手枷をはめられる程度の刑罰で済むのは、重い刑罰を逃れて僥倖(ぎょこう・・・思いがけない幸せ)とされたのです。

つまり「死を免れてよかった!」というところから「幸」が出てきているのです。

「福」の語源

「ネ」とかく「示(しめす)」へんは、神への供え物を載せる机の形。
福の右側部分も、
神様を祭るテーブルの上に酒樽を供えて、幸福を求め祈(いの)るという形から来ていて、
意味は「さいわい」という意味です。
そこから「福」という漢字は、神前に酒樽を供えて幸いを求めることを表し、「さいわい、神のたすけ、恵み」といった意味をもつようになりました。

God Bless You

ですから、聖書で出てくる「さいわい」と書かれている部分の意味は、「福」という意味に近く、英語ならBless(祝福)と訳されているところが多いです。
神様は行き当たりばったりで何かをなさるのではなく、いつも私達に最善のものをくださろうと努力して私たちの近くに来られて「福」をくださるということなのだと思います。

ですから私は「君の人生に幸多かれ」と言わず、これからは「君の人生に福多かれ!」と言いたいです。
え?
幸も福もあればうれしいですから、私は幸福という言葉を使って最高にうれしい人生を行くとおっしゃいますか?
そりゃもうぜひ。それで口語訳は「さいわい」とひらがなにしたのでしょうか・・・(私にはわかりませんが)

コメント

タイトルとURLをコピーしました