ニネベ
ユーフラテス川は地球のへそのような場所です。
豊かな川の恵みがこの地に繁栄をもたらしてきました。
古くからこの川沿いで人々は農作をし、多くの人々が様々なものを売り買いして交わってきました。
紀元前3000年を超えた古い歴史を持つこの町は、歴史が進んでいくにしたがって一層多くの人々が出入りしました。
この川の上流に、アッシリアという国がありました。
国の北から、南から、多くの技術者が入ってきて、鉄で武器を作るようになりました。
そうして、西へ東へ、南へ北へ、出かけていっては
すべてのものをほしいままにしていきました。
このアッシリアが最も大きく栄えた時代
我が世の春、という言葉がふさわしい時代がありました。
紀元前7世紀の初め頃、
イスラエルを脅かすバビロンでさえ、彼らにとっては小さな子犬のようだと踏みつけられる始末でした。
彼らは自らをこの世の覇者と名乗るほどでその高くなった鼻が天にも届く勢いだと言われました。
この川の上流に、ニネベという町がありました。
古くからあったこの地は、この時一層栄えていきました。
世界中の知恵があると言われた図書館、
世界で一番強い軍隊に、
世界で一番おしゃれな庭と建物、
おいしい食べ物と美しい服を着た人々、
世界の最も先をいく地と自負していました。
人の欲とは限りがないもので、底なし沼のように深い欲を持つ人々が
我先に、と富みを奪い合いました。
熾烈な戦いが数多く起こりました。
彼らの中に、話すことも動くこともできない不思議な石や木にひれ伏し、
輝く石を前に偽りの霊を呼び出して不思議なことを言って人々を惑わす人々は一層増えていきました。
豊かな暮らしをしているのに、
迷信に縛られ、誤解と嘘と偽りが一層はびこっていきました。
まるで鬼が善良な人を食べて鬼を作ってしまうように
人々の心はむしばまれていきました。
彼らに虐げられた人々の魂の叫びが地にこだましました。
彼らは神様を信じない、天の庭の外にいましたから、
神様も良心に従っていきよ、と心に感動を与えるにすぎませんでしたが、
彼らの欲という塔が天を貫いてきそうだと天使たちまでもが大騒ぎしました。
ニネベに目をやって眺めると、ノアの時に人々が悪かった時よりもっとひどいとわかりました。
私はノアに、もうこの地を裁かないと約束したが、
彼らの腐ったにおいが世界を多い、今、地球は腐ってなくなろうとしている、
なくしてしまうしかないのか?とため息をおつきになりました。
私はイスラエルだけの神ではない。
信じる人にも信じない人にも私は意味をこめて一人一人を創造し、
愛を恵みを施してこの地で喜びと愛で生きることを願っているのに・・
人間は肉体がなくなったからといって、すべてが終わるわけではない。
しかし彼らは、ただ生まれ、ただ去る草のように自分たちを考えている。
一度きりしかないこの世の人生を獣のように生きてはならぬと
誰かが教えてくれたのなら、そうはしなかったでしょう、
といわれはしないだろうか?
どうせなら、私の気持ちを伝えておくことだけはしておこう。
そうして、ニネベの近くにいる預言者を探していると、ヨナが目に留まりました。
預言者、ヨナ
北イスラエルの預言者アミタイの子にヨナがいました。
鳩、という意味をその名に持つヨナは、祈りが深い人でした。
彼のまっすぐな説教は人々の心に強く突き刺さり、
彼の真実な祈りは神様の心を揺るがしていくのです。
ノアが洪水のさなかに一羽の鳩を放って彼がオリーブの若枝を持ってきて
洪水の終わりを告げたように、
ヨナは苦しみや悲しみを終わりにする預言者でした。
ヨナは自分を知らない人でした。
鳩のように小さく取るに足りない人間だと思っていたのです。
父はヨナにいつも言いました。
「力があって、強いと思われるものが強いとは限らない。
あの川の水を見よ。静かに柔らかいあの水が集まり、速度を増したら
この世のすべてのものが押し流されていくだろう?
川の流れに逆らうことができるものがあるだろうか?
同じく、あの天の神様の御心に逆らえる人間などどこにいるだろうか?
鳩は神様との間で従順を意味する大切な捧げものだ。
神の御心に従うことがどれほど強いのか、忘れるな
あなたが神を忘れるのなら、あなたに自信がなくなり、
自分自身を失う。」
耳にタコができるほど聞いて育ちましたが、若いヨナのことです。
すべてのものが大きく感じられ、静かに翼を閉じて座っているような面持ちでいました。
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