聖書には、「パリサイ人」とか「サドカイ人」と呼ばれる人達が出てきます。
これは当時の宗教的な派閥のことです。
キリスト教がプロテスタントやカトリックのほか、さまざまな派があるのと同じです。特に有名なのが、「パリサイ人派」、「サドカイ派」、そして「エッセネ派」、と呼ばれる宗教的な派閥でした。
今日は、特に「パリサイ人」について書いてみたいと思います。
権力者、パリサイ人
ァリサイ派とも呼ばれる人々です。
パリサイ、とはヘブライ語で「分離する」という言葉に由来しているといわれています。
「モーセ五書」と呼ばれるモーセが残した創世記~申命記に書かれている「律法」を厳格に守ろうとする人々でした。 このほかにも、旧約時代に出てきた様々な規則を全部守ろうとしている人たちでした。
特にイエス様との間では、「安息日」にまつわる法をイエス様が守らない、例えば、「イエス様が安息日に人を癒す」ことが法を破ることだと考えており、気に入りませんでした。
しかし、役人たちの中にも、イエスを信じた者が多かったが、パリサイ人をはばかって、告白はしなかった。会堂から追い出されるのを恐れていたのである。
ヨハネによる福音書/ 12章 42節
パリサイ人は、律法学者たちの大部分を占めていました。
上記の聖書の箇所からもわかるように、律法学者は、律法を教える教師、また法律家や裁判官の役目も担ったりしていて、政治的にも権力が大きかったに違いありません。
イエス様との舌戦
律法学者と呼ばれる人々の多くがこのパリサイ人でした。
律法(つまり旧約聖書、特にモーセの御言葉)に詳しかったので、聖書を使ってあれこれと言葉の戦いが続きました。
イエス様に対して、卑しい人たちと一緒にいるのは律法に反している、といったり、 悪霊のボスだから悪霊が言うことをきいて出ていくんだ、といったりしました。
- パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。(マタイによる福音書/ 09章 11節)
- しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。 (マタイによる福音書/ 09章 34節)
などです。しかし、自分たちが詳しいと思っているはずの律法で攻撃を仕掛けてもイエス様はさらに詳しい知識と知恵でスパッと一言言い返しました。それで、ますますイエス様とパリサイ人との間は深刻になっていきました。
パリサイ派の有名人
実は、使徒パウロはイエス様を信じる前「パリサイ派」にバリバリ所属していました。
彼は、イエス様の死後も、法的にもしっかりと許可までもらって、弟子たちを男女の区別なく、縛りあげて排除しよう!と向かっている道の途中でイエス様の霊に伝道されることになります。
ちなみに、パウロがパリサイ派で師事していた人が使徒行伝に出てくる律法学者「ガマリエル」先生。こちらは、多くの人に信頼されていた人だったみたいですね。(使徒行伝に出てきますよ)
ニコデモ
もう一人、聖書で出てくるパリサイ人の指導者に「ニコデモ」という人がいます。
彼は、夜分にイエス様を訪ねてきて対話する中で、イエス様に
「誰でも新しく生まれなければ、神の国を見ることができない」
(ヨハネによる福音書3章3節)
といわれ、
ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。
ヨハネによる福音書/ 03章 04節
と答えます。これは肉体がよみがえるということではなくて、自分の行動や生活が変化していくことを通して霊が変化することを言ったのですが、理解できてなくて、それでイスラエルの教師なのにそんなこともわからないの?といわれてしまいます。
このニコデモ、これでもの別れに終わったのかと思いきや、この後ヨハネによる福音書では2度も登場します。
彼らの中のひとりで、以前にイエスに会いにきたことのあるニコデモが、彼らに言った、「わたしたちの律法によれば、まずその人の言い分を聞き、その人のしたことを知った上でなければ、さばくことをしないのでないか」
ヨハネによる福音書/ 07章 50節~51節
とイエス様を擁護する発言をしています。が、あっさりと否定されてしまってはいます。
結局組織から抜け出せずにいたのかなと思っていると、イエス様が十字架により亡くなられて、遺体を墓に葬ろうとするときに
また、前に、夜、イエスのみもとに行ったニコデモも、没薬と沈香とをまぜたものを百斤ほど持ってきた。
ヨハネによる福音書/ 19章 39節
というふうに葬りに来ています。
彼に関する記録はここで止まっていますが、この後殉教したという説が有力なようです。 最後にイエス様の遺体を葬りに来た、この時には立派なイエス様の弟子だったのかもしれませんね・・。ニコデモはどんな人だったんだろう?とちょっと想像が膨らみます。
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